出産お疲れさまでした。
やっと出産が終わり、かわいい赤ちゃんがねんねしているのを眺めるのは、幸せなひと時ですよね・・・。

でも、産まれたばかりの赤ちゃんは、基本的には笑ってくれませんし、むしろ言いたいコトがあれば、泣いて訴えてきますよね。
毎日の育児に追われていると、「こんなに頑張ってお世話をしているのに、君はそんなに不満なの?」なんて気分になってしまいそうですが(笑)、そんな育児が少しでも楽しくなり、赤ちゃんの自己肯定感が上がる「昼間の赤ちゃんとの遊び方」について、お話します。
このページの内容
新生児から自己肯定感?
新生児の赤ちゃんは、泣いたらオムツを変えて母乳やミルクをあげて、あやしてあげれば、自然に育つと思っていませんか?
「自己肯定感を育むのなんて、もっと後のことでしょう?」と思われるのも、よく分かります。

確かにそれでも悪くはないのですが、産まれたばかりの頃から、ママやパパが少し意識を変えるだけで、赤ちゃんの成長を大きくサポートしてあげることができるんです。
この記事でご紹介する方法は、「自己肯定感」という心の発達をサポートすると共に、「言葉の発達」や「IQ(知能指数)の発達」を助け、後々の学業成績にも貢献することが分かっている方法です。
それはイギリスの言語聴覚士さんサリー・ウォードさんが提唱する「語り掛け育児」というものです。
一体、どのような方法なのでしょうか?
生まれて一日目の新生児からできる「語り掛け育児」
「語り掛け育児」は、産まれたて~4歳までの子どもにおススメの育児で、方法は「一日、30分語り掛ける」というだけです。
ただし、産まれたて~生後3か月までは、もっと簡単で、授乳やオムツ替えの時間を意識するだけでも十分です。
「語り掛ける」だけ、とはいえ、気をつけなければいけないことはあります。
それは、雑音がなく、人の出入りなど、気が散る要素がない環境で、ママと赤ちゃん、或いはパパと赤ちゃんが、1対1で、心からしっかり向き合い、優しい言葉をかけてあげること。そして、子どもに「反応させよう」「言葉を喋らせよう」としないこと。
語り掛けのルール
- 語り掛ける側のおとながリラックスして楽しんでいること、そのため、自分の母国語、リラックスしているときに使う言葉で話しかけること。
- 「子どもに反応させよう」と思わないこと。
「語り掛け育児」の本質は、「おとなが子どもに反応する環境を整える」ことで、その逆になると、むしろ逆効果なんですね。。
赤ちゃんが「自分がしたことに対して、おとなが丁寧に反応してくれる」という経験を繰り返すことで、赤ちゃんの心に「自分が意味ある存在だ」というイメージ「自己肯定感」が育まれるからです。
おとなの「子どもに〇〇して欲しい気持ち」や「指示」が先にあって、それに自分が従わされる、という関係を繰り返し体験すると、赤ちゃんや子どもは「自分の存在に意味がある」とは感じられなくなっていくのです。
また、赤ちゃんは、情報の渦の中から、大切な情報とそうでない情報を区別し、必要のない情報を無視する力がありません。
「テレビの雑音」や、頻繁に「ピコピコ鳴る携帯の音」が聞こえると、そういった音を優先的に聞き取るように発達し、人間同士のコミュニケーションへの集中力を育てられなくなります。
現代の大人社会は、色々な雑音で溢れていますよね?
サリー・ウォードさん曰く、赤ちゃんが常にそういった音のカオスの中にいて、一つの音に注意を向ける機会が持てない子はとても多く、数百人規模の赤ちゃんの調査で、86%の子どもが、そうした環境に置かれていたということなんです。
ぜひ、気をつけてあげたいですね。
それでは、赤ちゃんが、周りの環境をどう感じているのかを理解しながら、具体的な関わり方についてご紹介していきますね。
新生児の感性
生れたばかりの新生児は、自分の周りにいるおとなを安心の源だと感じています。
ですから、赤ちゃんは、泣いても、おとなが抱っこしてあげたり、目をみつめてあげたり、赤ちゃんに意識を向けてあげれば安心して泣き止んでくれますよね。
赤ちゃんの目も、抱いてあげたときにママの目に焦点が合うようになっています。
音にも興味があり、特に、音が近づいてくると動きを止めて、音に耳を澄ませます。
新生児が何かコミュニケーションを取ろうとするときには、泣いて訴えますが、泣く以外では、「母音」を発したり、「しゃっくり」や「げっぷ」をするなどの生理的な音を出します。
しかし「母音」や「しゃっくり」「げっぷ」などは、何かを伝えたくて出している音ではありません。
それでも、ママやパパが、こうした意味のない音にていねいに反応することで、数か月後には、コミュニケーションの音としても発達してくるんです。
単なる生理的な反応だから、という理由で無反応でいるのと、「赤ちゃんがしている意味のない動きや声、意味のない日常の生活音にママが反応し、赤ちゃんに話しかけてあげる」のとでは、数か月後の赤ちゃんの様子に大きな違いが見られるようになります。
ママが頻繁に反応してくれる赤ちゃんは、「構ってちょうだい」アピールをしなくても、ママが反応してくれることを知っていますし、自分の身の周りに見えるものや音からも「自ら何かを感じとろうとする力」を発達させていきます。
この「何かを感じ取ろうとする力」が、「聞く力」「注意を向ける力」となっていくんですね。
そして、「聞く力」や「注意を向ける力」が、言葉の発達を促し、おとなが言っていることを理解しようとする力になっていき、穏やかにコミュニケーションがとれる親子関係がつくられていきます。
実際に、この育児を実践した私の娘は、バイリンガルですが、ネイティブ一言語の子どもたちより早く話し始め、幼稚園でも「先生の言うことに注意を傾け、理解する力が高く、提案した遊びにはいつも積極的に取り組む」と、幼稚園の先生にも学童の先生にもおっしゃって頂き、私の方が驚いています。
自己肯定感が上がる新生児との遊び方
赤ちゃんの「自己肯定感」や「言葉の発達」、「良好な人間関係を育む力」を応援する上で最も大切なことがあります。
それは、「何か多くのことを教えたり、刺激を与えたりすること」ではなく、赤ちゃんが「気持ちいい」と感じること、「おとなと関わることが楽しい」と感じることです。
「ママは楽しい」「おとなの話に耳を傾けるのは気持ちがいい」と感じてもらえるようになることが、コミュニケーションの土台となるのです。
お世話をするときは声をかけてから
あなたも、お医者さんにかかったときに、無言で、体の診察をされると、緊張すると思います。
赤ちゃんが言葉が分かっていないと思わずに、お世話をしてあげるときは、いつも「○○するよ~」と、声をかけてから、行動にうつってあげましょう。
そのときに、ベビーサインを使うのがおススメです。
ユーチューブの動画などでも、紹介されていますし、独自につくってみてもいいですよ。
「おっぱいだよ」と声をかけながら、ゆっくりベビーサインをしてあげ、それから行動にうつってみましょう。
そして、オムツ替えや授乳・ミルクを作業として行うのではなく、その間に赤ちゃんに心を向けて「話しかけて」あげましょう。
赤ちゃんの動きに反応して話しかけてあげる
赤ちゃんが、オムツ替えや、母乳、ミルクなどを求めているサインに気づいたら、「オムツが濡れたの~」などと、話しかけてあげることで「自分が泣いたことに意味がある」と赤ちゃんは感じます。
また、赤ちゃんが何かを見ているときに(それが赤ちゃんの意図的なものでなくても)「あら、これが見たいの?」と、その物をとって見せてあげると、泣かなくても「視線」によっても、おとなに伝えることができると気付くようになります。
「あ」とか「う」とか、発する声に対しても、同じように返してあげることで、「そうやって、おとなと遊ぶことができる」ということに気づきます。
実況中継
家事で忙しいとき、「あれもしなきゃ、これもしなやきゃ」と追われると思いますが、赤ちゃんのお世話とは関係のないことをしているときも「ママは今から○○をするんだよ」とか、「ママ、ちょっと疲れたな~」とか、自分の行動や気持ちを話しかけてあげる実況中継をすることでも、赤ちゃんに「気にかけている」ことを伝えてあげられます。
ただし、「早期教育として実況中継しなきゃ」という義務感でやると逆効果です。
話しかけてあげるときは、赤ちゃんに心を向けてあげる余裕をもつようにしましょう。
赤ちゃんに聞いてもらうことで、育児疲れの気持ちが楽になることもあります。
それでは、今度は5感を刺激してあげる遊びです。
新生児の5感を刺激しながら遊んであげる
見えるもの、聞こえるもの、匂い、肌に触れるもの、口に入るもの。
これらが、生まれたての赤ちゃんの日常の彩りです。
おうちの中を探検しながら、見せてあげ、音が出るものなら音を出してあげ、触れるものは手に触らせてあげ、香りがあるなら香りをかがせてあげながら、優しく説明してあげましょう。
生後一ヵ月に関しては、免疫力などの問題もあり、完全に室内で過ごすことも多いと思います。
また、今はコロナもあり、状況的に室内が多いでしょう。
それでも、外からの刺激は「室内」の1000倍ともいわれています。
「窓辺から差し込む自然光」にあててあげたり、「喚起して空気の流れや風」にあててあげたり、「窓の外からの匂い」に触れてもらうこと、「窓を少し開けて、外の音」を聞かせてあげることなども、赤ちゃんにとっては、いい刺激になります。
自然光の濃淡、気候の変動、風の感触、風の匂い、風の音、鳥の声、毎回、言葉がけをしながら、そういった刺激に触れさせてあげましょう。
ベビーマッサージ
さて、新生児にとって、最も大切な感覚は「自分が安全だ」と感じること。「安心・安全」を感じてもらうのに、最も適した感覚が、触覚なんですね。
ベビーマッサージは、身体的な機能を刺激するとともに、全身をママの温かい手でマッサージしてもらうことで、赤ちゃんがリラックスし、安心感を感じてくれます。
おむつやボディを着た赤ちゃんのベビーマッサージ・ビデオが多いですが、肌と肌が触れるのと服越しでは刺激が違うので、暖かい季節は裸んぼがおススメです。
また、これも、「やらなきゃ」という気持ちや、「正しいマッサージ方法」を実践できているか、というタスクをこなす気持ちではなく、赤ちゃんとの時間を楽しめる心の余裕があるときに行いましょう。
ベビーマッサージまでしなくても、裸んぼで触れ合うことは、赤ちゃんにとって、大きな愛の刺激になります。
授乳のときに、一日一回は、授乳ブラ越しではなくて、ママの上半身全体の肌と、赤ちゃんも裸んぼで、肌のぬくもりを感じ合えるようにしたり、お風呂の時間などを利用して、肌と肌で触れ合う時間を確保すると、赤ちゃんの自己肯定感や安心感が格段に上がりますよ。
赤ちゃんから始めるソフロロジー
私の専門セラピーの一つであるソフロロジーでは、体の感覚を感じ取る力を鍛えることで、心を整えていきます。
赤ちゃんに、自分の体に注意を向けてもらい、体に気持ちいい感覚を感じてもらうことで、自分の体を肯定的に捉えることも、赤ちゃんの自己肯定感につながります。
実は、自分の体に否定的な気持ちがある方は、どうしても自己肯定感が下がってしまうのです。
ソフロロジーの瞑想ワークをしたことがある方は、頭のてっぺんから体の力を抜いていくのと同じ要領で赤ちゃんを触ってあげましょう。
季節が暖かければ、赤ちゃんは裸んぼで、おでこを触り、眉毛を触り目の周りを撫で、鼻を撫で、ほっぺたを撫で、口の周りや唇を撫で、顎をなで、「○○ちゃんのかわいいおでこ、お目目、頬っぺた」などと優しく声をかけながら、触っていってあげます。
ママやパパが赤ちゃんの体を肯定する気持ちをもって、言葉をかけてあげながら、触ってあげましょう。
ソフロロジーの瞑想ワークを体験したい方はこちらからどうぞ。
ワーキングママの新生児タイム
お仕事をしていると、家に帰って来てからの時間は戦争ですよね。
育休を早々に切り上げてお仕事に戻られるママにとっては、やるべきことをこなすだけで精一杯かもしれません。
でも、そんな自分に罪悪感を感じないでくださいね。
赤ちゃんにとって大切なのは、ママから100%の愛情をもらうことではなく、多くのおとなからたくさんの愛情をもらうことです。
まわりのお世話をしてくれているおとなたちを信頼し、自分が仕事をしながら育児をしている母親であることに誇りを持ちましょう。
そして、赤ちゃんの自己肯定感に繋がるママからの愛情は、量より質が大事です。
5分でいいので、家事も仕事も忘れて、赤ちゃんに全集中して語り掛けながら、裸んぼのスキンシップの時間をとってみてください。
あなたにとっても、赤ちゃんにとっても心が安らぐオアシスの時間になると思います。
新生児の「心の声」に耳を傾ける
ここまで、新生児との関わり方について、様々なことをご紹介してきましたが、どんなに愛情をかけていても「ムッツリした表情で、泣いたりウンチされたりするだけの赤ちゃん」に見えると、「私の溢れる愛情は、ちゃんと伝わっているのかしら?」なんて不安に思っちゃいますよね(笑)。
新生児の反応から、赤ちゃんが感じていることが少しでも想像できれば、育児のやる気にも繋がるかと思います。
そこで、新生児育児を楽しむ理解の仕方について、お伝えします。
新生児の呼吸
あなたの赤ちゃんの呼吸に注目してください。
普段の「呼吸音」、寝ているときの「呼吸音」、違いますよね?
嬉しいときの「呼吸」や、リラックスして安心しているときの「呼吸」も、注意深く観察すれば分かるようになります。
0歳児では、まだ「嬉しい」「悲しい」などの感情は発達していないのですが、「興奮」や「落ち着いた心理状態」などの反応はあるんですね。
例えば、授乳前は興奮して息が荒くなっていませんか?
私は、ベビーサインをしながら「パイパイ」(うちでは、おっぱいの時間をこう言ってました。)と言うと、息が荒くなっていました。
また、娘に近づいたり、あやしてあげたときも息が荒くなるときがありました。
頭や手足のバタつき
人間の赤ちゃんの体は、上から下へ発達していきます。
つまり、頭を動かせるようになり、次に手、足、と自分の意志で動かせるようになっていくんですね。
頭が動いたり、手や足がバタバタしたりするときも、おとなに対して「何か言いたい」とか、「何か感じている」ときです。
知っておくと、「今、反応してる」ということに、より気づけるようになり、育児が楽しくなりますよ。
まとめ
赤ちゃんの自己肯定感が上がる「一日30分、語り掛け育児」を含め、様々な遊び方をご紹介しましたが、気に入ったものはありましたか?
学校の勉強と違って、ご紹介した全てを実践しないといけない、と思うことはありません。
様々な選択肢がある中で、あなたが楽しくできるものを見つけてください。
どんな育児をするにしても、「子どもがしていることに丁寧に反応する」「子どもに何かを求めない」ということを心がければ、新生児の心にも自己肯定感が育まれていきます。
ぜひ、新生児育児を楽しんでくださいね!