近年、大注目の「ソフロロジー出産」。

「痛いの?」「痛くないの?」

この記事では「出産のとき、何故、痛いと感じるのか?」それを「少しでも軽くする方法はあるのか?」ということについて、お伝えしていきます!

筆者自身、「ヒプノバーシング」で陣痛の痛みを消した経験の持ち主です。

その衝撃的な体験がきっかけとなって、産後に「ソフロロジー専門セラピスト」としての資格をとりました。

今では、フランス労働省管轄機関『RNCP』レベル認定ソフロロジスト(ソフロロジーを実践するセラピスト)になっています。

RNCP

ソフロロジストになる前は、京大医学研究科で仕事をしていた経緯もあり、科学的根拠と共にソフロロジー出産について、3回シリーズでお伝えしています。

この記事は Vol. 2。

Vol. 1は、こちらからどうぞ。

ソフロロジー出産のメリットソフロロジー出産のメリット Vol. 1 「妊娠中・出産時・産後」に受けられるメリット

 







【ソフロロジー出産】知らないと成功できない「痛い理由」「痛くない理由」

「ソフロロジー出産をしたら、本当に痛みを感じずに出産できるのか?」

気になりますよねぇ???

「ソフロロジー出産」では、初期の痛みを消すことができる。

「ソフロロジー出産」では、痛みを感じる時間を短くすることができる。

「ソフロロジー出産」では、最も痛い時間帯の痛みを和らげ、耐えられる程度に抑えることができる。

なぁ~んだ、痛みがゼロになるわけではないのか、と思われたかもしれないのですが、実は、それは麻酔による「無痛分娩」でも同じなんですね。

とはいえ、「ソフロロジー出産」をうまく実践するためのコツはあります。

そこには科学的な理由がありますので、詳しくお伝えしていきますね。

ソフロロジーで痛くない出産ができる理由

ソフロロジー出産で「痛くない出産ができる理由」を、あなたはご存知ですか?

たまに、ソフロロジー出産は「自己暗示」だと思っている方がいらっしゃいますが、痛みをコントロールできるのは思い込みでも、信仰心でもありません。

心と体の仕組みの中に「痛みを感じにくい状態」というものが存在するんです。

例えば、大きな事故で怪我をしたときなど、痛みが強すぎると、人は気を失って痛みを感じなくなります。

出産中に気を失うことはできませんが、痛みを感じにくい状態へ移行することはできるんです。

もちろん、そうなろうと思ったからといって、すぐにできるテクニックではありません。

ですから、「ソフロロジー出産」では、その状態へと移行するテクニックを2ヵ月ほどかけて習得していくのです。

瞑想

この「意識の移行テクニックが未熟」だと、ソフロロジー出産をしても、痛い出産になってしまうんですね。

痛みを感じる脳波の状態

あなたが痛みを感じるかどうか?

それは、脳波の状態によって変わります。

「リラックスの脳波」が出ているとき、人は痛みを感じにくくなるんです。

特に「深~いリラックス状態のときに出ている脳波」では、「脳内モルヒネ」と呼ばれる、痛みを麻痺させる物質が分泌されるんですね。

では、「脳内モルヒネ」を出せる状態へ、どうやって移行したらいいのでしょうか?

 

自己催眠という手法によって、意識を「瞑想状態」「変性意識状態」という状態に保つことによって「脳内モルヒネ」が分泌される状態へ移行することができます。

端的にいえば「意識を下げる」ということです。

この手法が取り入れられている出産が「ヒプノバーシング(自己催眠出産)」という、私が体験した出産方法です。

実は、この意識を下げるテクニックを身に着けるだけで、ほとんどの痛みを軽くすることができるようになります。(経験者は語る。)

しかし、「ソフロロジー出産」では、「痛みを感じない」というだけではなく、「出産そのものをスムーズに進める」ことで、痛みを感じる時間自体を短くすることができるメソッドになっています。

そのメカニズムについて、お話するために「体が痛みを感じる仕組み」についてご説明していきます。

「痛み」の不快感は相対的

例えば、ある朝、起きたら「背中が痛かった」とします。

朝は「背中が痛い」と不快だった痛みも、仕事に集中している間は「痛みを忘れて」いた、なんてことはよくあることですよね。

そして、仕事が終わって家に帰ってくると、また痛みを感じるようになる、と。

あなたにも似たような体験があるのではないでしょうか?

「意識がどこにフォーカスしているか?」によって、私たちは、痛いモノも痛くなくなってしまう神経を持っているんです。

では、そもそも、私たちは、どうして「痛み」を感じるのでしょうか?

関節痛のイラスト(背中)

そもそも「痛み」って何?

例えば、体のどこかを強く打ったとしましょう。

打った所を早く回復させるためには安静にしていることが大切です。

痛みを感知してから、回復するまでのプロセスは次のようになります。

  1. 体のどこかを強く打った。(問題発生)
  2. 「痛い~!」(T_T)という感覚が芽生える。
  3. 「痛いのは、そこを強くぶつけたからだ」という思考がうまれる。
  4. 痛みを抑えるために、その痛いところを動かさないようにしようと考える。(解決行動)
  5. 痛いところが安静に保たれ、早く回復する。(問題解決)

このように、体の痛みは脳に伝わることで、「体をぶつけた」という考えがうまれ、そのことによって「痛みを抑えたり、取り除いたりする行動」へと促され、結果的に体の損傷回復を早めているんです。

もし、鎮痛剤などによって、痛みを感知せず、体をぶつけたことに気づかなければ、事態はもっと酷いことになっています。

 痛み=「体の損傷を伝えるシグナル」

矢印

「痛みを抑えたり取り除いたりする行動」が損傷回復につながる。

痛みは、「体が損傷」を伝えるわけですが、これがひどいものなら命の危険が伴います。

そこで、この「痛み」は、同時に「恐怖」という感情も生み出す仕組みになっています。

そして、「恐怖」という感情は、「痛み」を実際よりもオーバーに感じるように、「痛みへの過敏性を上げる」メカニズムがあるのです。

痛み ⇒「何か体に悪いことが起こっている」

 

「嫌だ、怖い、怖い!はやく痛みを消したい」(>_<)

 

ところが出産時の陣痛は、通常の痛みとは性質が異なります。

それは、体が損傷しているサインではなく、赤ちゃんが外へ出てくるための「子宮収縮」が始まったサインなのです。

出産時の子宮の収縮 ⇒ 「何も体に悪いことは起こっていない

 

「赤ちゃんに会える嬉しいサイン」

この子宮収縮に対して「あ~、きたきたきた。怖い怖い、きゃ~~!!!」と思うと、恐怖に巻き込まれ、「恐怖」という感情が、「痛み」という感覚を実際よりも大きなものに育ててしまいます

逆に「あ、私、いま痛いって感じているんだな」という事実を受け容れ、でも、それが「いよいよ、赤ちゃんに会えるサインだ!」と思えたり、「痛いところもあるけど、ゆるんでいる場所もある」と、冷静にゆるんでいる場所に意識をフォーカスしたり、「痛み」と「感情」を切り離すことで、「痛みを感じるレベル」はトーンダウンするものなんですね。

陣痛のイラスト

「痛み」を正しく理解する ⇒ 痛みが消える!

通常時の痛みが「体の異変」を伝えるシグナルなのに対して、子宮収縮は、体の損傷ではなく「赤ちゃんに出会うためのサイン」。

これは、体の意識である潜在意識のレベルでは、「子どもが産まれてくること自体に不安を抱えている場合、子宮収縮が『喜ばしいサイン』では、なくなってしまいまう」ということを意味しています

ソフロロジーを日本に持ち込まれた松永昭先生は、この点に注目し、「ソフロロジー出産」のイメージワークに「子どもの誕生を喜ぶ気持ち」を取り入れています。

「陣痛を恐怖と捉える」のではなく、「陣痛を愛おしい大切なものとして受け入れる」には、妊娠中から赤ちゃんのことを考えたり、イメージしたりして、「母親としての意識」を積極的に育てていくことが大切だからです。

戸田中央産院・助産師の嵯峨晴恵さんの話では、このようなインタビューもありました。

人に頼りがちな人は、自分が産むという意識を強く持たないと、陣痛と向き合うことができず、ただつらいだけのお産になってしまいます陣痛は赤ちゃんに会うために必要なものと、妊娠中から心得ておきましょう。お産の流れに身を任せられる性格のほうが、進みやすい傾向に。

出典:https://st.benesse.ne.jp/ninshin/content/?id=24617

痛みを少なくするには、「陣痛と向き合う」精神力が大切で、その精神力は「赤ちゃんに会いたい」という気持ちから生れるものなんですね。

イメージ・トレーニングと痛みの関係

出産に対するポジティブなイメージが出産時の痛みを大きく左右することは、次のような研究でも明らかにされています。

世界の様々な文化圏の妊婦さんについて(アメリカ、北欧、中東、中国、トンガなど)「出産時に感じる痛みが自分にとってどういう意味を持つのか?」を調査した研究があります。

それによると、次の3つの要素を持っているママは痛みを感じにくい出産になったそうです。

産時の痛みを軽くする3つの「ポジティブなイメージ」》

  1. 妊婦さんが出産に対してポジティブなイメージを持っている。
  2. 妊婦さんが母親としての自信を持っている。
  3. 妊婦さんが女性としての自分の体を信頼している。

ソフロロジー出産のイメージトレーニングでは、これら3つの要素をあなたの心の奥深くに育んでいきます。

草原の妊婦さん

「出産の痛み」を左右する無意識の作用

「出産時の痛みを緩和するために、出産に対するポジティブなイメージがとても大切なんだ!」

ということは、ご理解頂けたかと思うのですが、それでは、これから「ポジティブ・シンキングでいこう!」という気持ちでいれば「出産時の痛みがなくなるのか?」というと、残念ながら、そう簡単にはいきません。

頭で「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせて、心の奥底で感じている「痛みに対する恐怖」や「出産に対する漠然とした不安」を潜在意識に抑圧した場合、出産に現れるのは潜在意識の気持ちの方だからです。

出産は「何が起こるか分からない」といわれるのは、ここに理由があります。

潜在意識で感じていることは、誰もが気づいていない内容なんですね。

なので、「出産」となったときに、思わぬトラブルを抱えたりすることに納得がいかない妊婦さんは、とても多いのです。

けれども、ソフロロジーの「瞑想ワーク」は、潜在意識と顕在意識の両方に影響するため、こうしたギャップを埋めることができ、思考も心も体も、出産に向けて準備していくことができるんです。

「ソフロロジー出産」と「ヒプノバーシング」痛みへのアプローチの違い

ところで、痛みが少ない出産と言われる2つの出産方法「ヒプノバーシング」と「ソフロロジー出産」の違いには、どういったことがあるのでしょうか?

ヒプノバーシングの体験者であり、ソフロロジーの専門セラピストとして、日常的にソフロロジーを実践している立場から両者を比較してみたいと思います。

繰り返しになりますが、脳波が瞑想状態まで下がることで痛みは感じにくくなります

この脳波を整える方法を身に着けるのが「ヒプノバーシング」、私が実践した方法です。

ヒプノバーシングでは、「子どもとのきずな」や「母親としての自信」、「女性としての体に対する信頼」などを育むステップはありません。。

そのため、潜在意識に「子どもが産まれることへの不安」や「母親になることへの怖れ」などが残ったまま、出産へ臨むことになってしまったのが私の出産だったんですね。Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン)

私の場合は、陣痛19時間までは、陣痛の痛みを消すことに成功しましたが、出産時間が25時間という長丁場になり、最終的には硬膜外麻酔を打ってもらっての出産となりました。

ヒプノバーシングで痛みを消すことはできたけれども、「出産自体をスムーズに進める心と体の準備」はできなかった結果だと受け止めています。

第2子を産むなら、私は「ソフロロジー出産」一択です♪

ところで、出産の痛みを消す方法としては「ヒプノバーシング」や「ソフロロジー出産」などの自然な方法がある一方で、「麻酔」という人工的な方法もあります。

それでは、「無痛分娩(硬膜外麻酔)」と「ソフロロジー出産」の違いについて、お話していきます。

「ソフロロジー出産」と「無痛分娩」痛みへの効き方

「ソフロロジー出産って、結局、練習しないといけないんだー」と、練習を面倒くさく思う方にとっては、あまり魅力的に感じられませんよね。


それより「無痛分娩」の方が楽ちんだし、絶対効くから良いんじゃない?

と安易に考えてしまいがちな「無痛分娩」ですが、意外な落とし穴もあるので、「無痛分娩の落とし穴」についてもお話していきます。

無痛分娩の落とし穴

実は、フランスの妊婦さんの8割以上が「無痛分娩(硬膜外麻酔)」を使われます。

しかし、「無痛分娩(硬膜外麻酔)」をされる妊婦さんも「ソフロロジー出産」を併用されるですね。

何故なのでしょうか?

それは、「無痛分娩(硬膜外麻酔)」は、陣痛がある程度、強くなってきてから打ってもらえるもので、最初の陣痛は感じるからなんです。

また、麻酔用の管を入れられる瞬間に激痛を感じる妊婦さんもいらっしゃいます。

さらに、出産中、麻酔をしたからといって、痛みが全くゼロということでもないんです。

出産が進んでいく感覚がまったく分からなければ、上手に赤ちゃんをサポートしてあげることができないので、「硬膜外麻酔」では、多少の痛みが残されています。

(※外科手術用の麻酔のように「完全に痛みが消えるほどの麻酔」を打つと、赤ちゃんや母体を危険に晒すリスクがあるため、現代の出産医療では、数十年前に比べると麻酔の効き目が抑えられているのです。)

無痛分娩の副作用

また、「麻酔」は、薬剤ですので、副作用が出る場合もあります。

私自身、後半は「無痛分娩」のお世話になったのですが、1回目に打った量で数時間は楽に過ごせたものの、一回目の麻酔の効果が切れた後に追加で入れてもらったときは、効きが悪く、副作用の不快感や発熱で非常にしんどい出産体験となってしまいました。

つまり、「無痛分娩」だからといって、本当に手術する時のような無痛の麻酔ではなく、何らかの痛みや不快感はある、ということは知っておいた方がいいでしょう。

無痛分娩にかかる費用

「無痛分娩」のデメリットといえば、費用もあります。

フランスでは、出産の医療ケアは、ほとんどのフランス人が加入しているミュチュエルという民間保険が全額適用されるので、実費負担はありませんでした。

しかし、日本で行われる無痛分娩では、そうはいきません。

無痛分娩を希望すると、10万円~20万円ほどプラスでかかることが多いそうです。

(病院によって費用は異なります。)

無痛分娩ができる産院は限られている

また、専門の麻酔科医が在籍する病院でないと無痛分娩はできません。

さらに、痛みが多少残るとはいえ、通常より麻酔で感覚が鈍っていますので、赤ちゃんとタイミングを合わせて、いきむなどが難しくなり、出産が長引く傾向もあるようです。

こうしてみると、「無痛分娩」さえ選べば「パラダイス出産」というわけにもいかないんですね。

実際、「ヒプノバーシング」や「無痛分娩」は、「出産の痛みに特化した対処法」ですが、「ソフロロジー」は、「妊娠期間の心と体の快適さ」「出産の痛みの緩和」「産後の体力回復」「育児ストレスの緩和」と、ママ業のそれぞれのステージで、大きな恩恵を受けることができます

というわけで、「ヒプノバーシング」と「無痛分娩」の併用で出産した後に、「ソフロロジー」を習得した私から見ると、「ソフロロジー出産」は、本当にトータルでママをサポートしてくれる方法だと考えています。

「出産の痛み」についてのまとめ

いかがでしたか?

「痛み」を和らげるには、「痛み」を感じたときに無意識に湧き上がってくる「恐怖」に飲み込まれず、「痛み」の存在は受け入れた上で、意識を「痛み」以外へ外すこと。

そして、体も心もゆるめ、深い腹式呼吸の状態になる「瞑想状態」へ移行することが必要になります。

また、お産の時間自体を短くするためには、陣痛を怖れの源にせず、「もうすぐ赤ちゃんに会えるというサインだ」と、捉えられることが大切になってきます。

このようにして、体の「痛み」のメカニズムを攻略し、ナチュラルに「痛みを和らげる」には、そのテクニックを身に着けるための練習が必要になります。

「練習しなければいけないこと」を面倒くさいとデメリットに感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、それでは練習のいらない「無痛分娩」はどうなのか、というと・・・、こちらもメリットばかりではありませんでした。

費用がかかったり、副作用が出る可能性も否めないこと、そして無痛分娩をしたとしても、出産の「痛みが一切ゼロ」ということはない、ということです。

 

「ソフロロジー出産」「ヒプノバーシング」「無痛分娩(硬膜外麻酔)」の違いや、「強い痛みを感じる妊婦さん」と「そうでない妊婦さん」の違いについて、お分かり頂けましたでしょうか?

ソフロロジー出産を実践することで、どのくらい痛みが抑えられるのかについては、コチラの記事をどうぞ。

妊婦のお腹

 

出産陣痛の痛みとは?「ソフロロジー出産」ではどこまで痛みを下げられる?

 

 

それでは、Vol.3では、「ソフロロジー出産」の成功と失敗が分かれる理由について、さらに詳しくお伝えしていきます!

ソフロロジー出産百科 Vol. 3 ソフロロジー出産 失敗と成功の分かれ目を知る