妊娠後期に入ってくると、子宮が大きくなり、体が重だるくなるのと同時に息苦しさを感じ、ときに動悸が出てくることも珍しくありません。

動悸がしたときに、「赤ちゃんに何かトラブルのサイン!?」と必要以上に不安がる必要はないのですが、なんとかできるなら、対処したいものですよね。

この記事では、動悸の原因を知って安心し、実際に動悸を感じたときに楽になる方法について、お伝えしていきます。







妊娠中の動悸・息苦しさの原因

ホルモンバランスの変化

妊娠中の動悸を引き起こす原因には、様々な要因がありますが、そのうちの一つがホルモンバランスだと言われています。

妊娠中は、妊娠を維持させるために、女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌バランスが変わります。

そして、このバランスが変わることによって自律神経系の働きにも影響が出るといわれているのです。

貧血

妊娠中は、赤ちゃんに血液を送ったり、母乳生産の準備をしたり、出産時の出血に備えて、血液量が多くなるんですね。

その量は、妊娠していないときの約1.5倍。けれども、赤血球の量が変わらないまま、血液量が大幅に増えるため、血液が薄くなります。

赤血球の重要な役割といえば「酸素の運び屋」。

血液中の赤血球濃度が下がれば、酸素濃度が下がる、ということになります。

すると、体は「酸素が足りない」と思ってしまうわけです。

そうすると、「もっと酸素を~」という指令が出され、血液(酸素を循環させるのが血液)を体に送り出すために心臓がドキドキし出したり、息苦しいと感じたり、酸素を取り込もうと動悸したりするわけですね。

妊娠後期の肺への圧迫

妊娠後期は、これら2つの要素の上に、肺の体積が圧迫されることで、息苦しさ、動悸が不快なものになっていきます。

こちらの動画を見ると、子宮が大きくなることによって、妊娠後期に内臓が圧迫され、窮屈になっていることがよく分かります。

  • 動画の左上に妊娠週数が書かれてあります。
  • Placenta=胎盤
  • liver=肝臓
  • 24秒からは、出産によって赤ちゃんが子宮の外に出て、内臓が元の位置へ戻る様子が示されています。

というわけで、妊娠後期は特に、赤ちゃんのお部屋(子宮)が大きくなり、息苦しくなるんです。

では、どうしたら、こうした息苦しさや動悸の症状を楽にすることができるのでしょうか?

妊娠後期の動悸を楽にする呼吸法

心身後期に息苦しいとき、頑張って息を深く吸おうとしても、そもそも空気が入る隙間が狭くなっている状態です。

ですから、限られた肺の空間を最大限に利用して、酸素を摂り込むことが必要なんですね。

具体的には、どうしたらいいのでしょうか?

それは、吐き切ることを意識するということです。

息を最大限、吐き切って、肺を最大限までしぼませた後に息を吸えば、限られたスペースの中に多くの息が入るようになりますからね。

そのために、息を吐くとき、横隔膜を上に引き上げることを意識してみてください。

下記の動画では、呼吸をすると、横隔膜がどのように動くかが、よく分かります。

横隔膜は、肺の下を支えるように平べったい筋肉(動画では黄土色)で、呼吸をすると上下しているのが分かります。

それでは、妊娠後期の動悸や息苦しさを楽にするための胸式呼吸のやり方についてお伝えします。

胸式呼吸のやり方

この呼吸を行うときの姿勢は、座っても横になって足を「くの字」に立てて行っても大丈夫です。

動悸がしてきたとき、息苦しいときは、横になって行うのをおススメします。

その方が、心臓が血液を頭の方へ送るための負担が少なくて済むからです。

横になったら、下の写真のように、胸の下、肋骨のあたりに両手を当てて、肋骨が呼吸をする度に開いたり閉じたりするのを感じます。

胸式

さらに、目をつぶって、肋骨の内側にある肺と肋骨の下あたりにある横隔膜をイメージします。

上の動画のように肺と横隔膜が連動して動いているイメージを頭の中で思い描きます。

イメージをしながら、胸の内側の筋肉の動きを感じます。

そして、口をすぼめて、息をゆっくり吐き出しながら、横隔膜が上へ引き上がり、肺が縮まって、吐き切れないというところまで息を吐きます。

息を吐き切ったら、1、2秒、息を止めます。(しんどい場合は息を止めなくても大丈夫です。)

息を吐く

そして、息を吐き切ったら、胸の筋肉から力を抜いて、鼻から自然と息が入ってくるのを感じます。

このとき、息を吸おうとしないことがポイントです。

息が体の中に入ってくる感覚を意識的に感じます。

この呼吸を繰り返します。

こちらのガイド音声を使って実践してみてくださいね。

この呼吸法が息苦しさ・動悸をらくにする理由

胸式呼吸の良さ

呼吸法といえば、「腹式呼吸」が有名ですが、妊娠後期の「動悸・息苦しさ」には、何故、胸式呼吸がおススメなのでしょうか?

妊娠中の「動悸・息苦しさ」の原因として、ホルモンバランスが崩れることによる「自律神経系の乱れ」というものがありましたよね。

実は、近年の研究では、自律神経系を整えるのには、腹式呼吸よりも「意識的に行われる胸式呼吸」の方が効果があるということが報告されているんです。

胸式呼吸を行う際、胸だけでなく、背中も膨らんだり動いたりしているのを感じてみてください。

背骨の中には、体が正常に生命活動をするために大切な中枢神経系が束になって収まっています。

背中を緊張を解いてあげることdで、神経伝達がスムーズになり、中枢神経から体への指令が正しく伝わりやすくなります。

心と体をリラックスさせるのには、とても大切なことなんですよ。

血液中の酸素濃度を上げるために

妊娠中の「動悸・息苦しさ」の2つ目の原因は、血液中の酸素濃度が低くなるということでした。

動悸が出てくると、無意識に呼吸が速く浅くなります。

すると、二酸化炭素の排出がおろそかになってしまいます。

けれども、血液中の酸素濃度を上げるには、二酸化炭素をしっかりと吐き切り、二酸化炭素と酸素の比率を安定させることが大切なのです。

 

それでは、もう一度、胸式呼吸のガイド音声を掲載させて頂きます。

何度かガイド音声を聞きながら実践すると、やり方を覚えると思います。

そうしたら、外出先でも、息切れ・動悸を感じたときに、立ち止まって、胸の内側へ意識を向け、息を吐き切ってから自然と息が入ってくるのを待つ呼吸を数回してみてください。

少しでも、息苦しさが解消されるはずです。