妊娠中は「膀胱が圧迫されてトイレが近くなる・・・」というのは一般的なことですが、尿漏れに悩む妊婦さんも多いですよね。
私もありましたし、妊婦さんなら誰にでもあることなので恥ずかしいことではありません。でも、対策できるなら対策したいもの。
どういった対策ができるのでしょうか?
このページの内容
妊婦さんの尿漏れ その原因は?
まずは尿漏れの原因について理解しておきましょう。
膀胱が圧迫される
尿は、膀胱(ぼうこう)という場所に溜められ、膀胱に尿が溜まるとトイレに行きたくなります。
妊娠中は、膀胱が恥骨(骨盤骨格の一部)と、大きくなった子宮との間に囲い込まれてしまい、少し尿が溜まっただけで「もう、おしっこプールが満杯です!」という状態になるんですね。
なので、普段なら、我慢できる程度のおしっこの量が溜まったときも、漏れやすくなってしまうのです。
骨盤底筋がたわむ
妊娠中は骨盤底がたわみ、おしっこの出口を締める筋肉の力が弱くなってくることも尿漏れの原因になります。
骨盤底筋とは、下図のように骨盤底面を支える筋肉群のことです。
これらの骨盤底筋たちは有名ではありませんが、実は「縁の下の力持ち!」。骨盤底筋のおかげで子宮や膀胱などの臓器が下がってこないように支えられているのです。
ところで、この骨盤底筋群はハンモックに例えられることがります。ハンモックって、重いもの乗せるとたわみますよね?妊娠中の骨盤底筋は、子宮が大きく膨らんで重くなり、まさに重りがのったハンモック状態。
通常なら、重さが加わっても骨盤底がギュッと締まって、尿が漏れないようになっていますが、妊娠中は、骨盤底筋群がたわんで「締める力」が弱くなっているんですね。
つまり、妊娠中は膀胱が狭い空間にあり、尿が少し溜まるだけで満杯になりやすく、骨盤底がたわんで尿の出口を締める筋力が弱まっているために、ちょっとした動作で尿漏れが起こってしまうようになるのです。
尿漏れ対策 骨盤を締める
妊娠中はホルモンの影響で、骨盤を締めて支えている靭帯(じんたい)がゆるみ、赤ちゃんを産む体の準備が始まっています。
けれど、現代女性は、昔に比べると骨盤周りの靭帯が弱くなってきているんです。
それもそのはず。人類が誕生してから、ほんの40年、50年前までは、移動といえば徒歩だけ。けれども、現代人は子どもの頃から車に電車に、長距離を歩くことなんてなくなりましたよね?さらに、今は在宅ワークも増えて通勤もしない方が多くなっています。
そのため、現代の妊婦さんの関節を繋いでいる靭帯や足腰・骨盤周辺の筋肉は驚くほど弱くなっているそうです。
ということで、妊娠すると骨盤周りが緩み過ぎてしまい、その結果、子宮が下がって骨盤の中に入り込んできやすくなって、子宮の下にある膀胱が圧迫され、「尿漏れ」が起こりやすくなる、というわけです。
子宮が高い位置でキープされると、「尿漏れ」が起こりにくいだけでなく、「切迫早産」や「出産時の赤ちゃんの回旋異常のリスク」なども下げることができるんですよ。子宮が上の方でキープされていた方が、赤ちゃんも、より快適な環境で過ごせるんですね。
すべてを総合して考えると、「尿漏れ対策」のポイントは、膀胱が圧迫され過ぎないように「子宮を上へ押し上げること」と、「尿の出口を締めること」ということになります。
「妊娠後期の重くなってきた子宮」を上へ押し上げるには、腰の下に枕を敷いて、骨盤高位で横になったり、体操をしたりすることが有効です。また、骨盤が緩み過ぎて歪まないように、骨盤を支える「骨盤ケア・グッズ」を活用することもおススメです。
「トコちゃんベルトの青葉」のサイトに「体操」や「骨盤ケア・グッズ」などについて、詳しく説明されていますので、どうぞご参照ください。
尿漏れ対策 骨盤底筋を鍛える呼吸法
というわけで、尿漏れ対策として、骨盤底を締める練習をしていきましょう。
とはいえ、この骨盤底筋を効果的に鍛えるのは、なかなか難しいといわれます。骨盤底筋は、普段、意識しない筋肉なので、骨盤底筋を刺激しているつもりで、別の筋肉を締めるトレーニングをしてしまうことが多いからなんです・・・(汗)。
まずは、骨盤底筋が何処かを体で感じて頂くために、トイレでおしっこをするとき、「尿を止める」ということをしてみてください。そして、この記事でご紹介する胸式呼吸を使ったワークで、骨盤底筋群を締めてみましょう。
では、「呼吸を使うと何故、骨盤底筋を刺激しやすくなるのか?」その仕組みからお話しますね。
呼吸と骨盤底筋
何故、胸式呼吸を使うことで、骨盤底筋群を刺激しやすくなるのでしょうか?
実は、骨盤底筋は、内臓を包むボックスのような筋肉群と連携して動いているからなんです。
なので、呼吸をするときに動かす横隔膜と連動して動く性質があるんですね。
図:集英社 Webマガジン OurAgeより
骨盤底筋を感じる胸式呼吸
それでは、早速、呼吸をしながら、骨盤底筋を刺激してみましょう。
このワークは、座って行っても大丈夫ですし、横になって足を「くの字」に立てて行っても大丈夫です。
下の写真のように、両手を、胸の下、肋骨のあたりに当てて、肋骨が呼吸をする度に動くのを意識して感じます。
さらに、目をつぶって、肋骨の内側にある肺と肋骨の下あたりにある横隔膜をイメージしましょう。
下記の動画を見て頂くと、肺や横隔膜の動きをイメージしやすくなると思います。
※横隔膜は肺の下にある筋肉で、この動画では黄土色の部分です。
口をすぼめて、息をゆっくり吐き出しながら、横隔膜が上へ引き上がるイメージをし、同時に、骨盤底筋を上へ引き上げ、締めるように意識します。
息を吐き切ったら、1、2秒、息を止め、骨盤底筋が締まっている感覚を感じます。(しんどい場合は息を止めなくても大丈夫です。)
そして、筋肉から力を抜くことで、ふわっと鼻から自然と息が入ってくるのを感じつつ、骨盤底筋や横隔膜も下がる感覚を感じます。このとき、息を吸おうとせずに、自然と息が体の中に自然と入ってくる感覚を感じるのがコツです。
この呼吸を繰り返します。
頭で考えながら呼吸をするのは骨が折れますので、こちらの「ガイド音声」を聴きながら実践してみてくださいね。
また、妊娠中は、膀胱が圧迫されるだけでなく、膀胱の収縮力そのものも落ちています。
そのため、おしっこをするときにお腹に力が入って、いきみがちになる方もいらっしゃるんですね。けれども、お腹に力を入れておしっこをする癖がつくと、腹圧性の尿漏れを誘発しやすくなるといわれます。ですから、トイレではいきまずに、ゆるめることで排尿できるように心がけましょう。
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