初産を控えているママなら、誰でも「出産の陣痛の痛みって、例えると、どんな痛みなんだろう?」と、怖い気持ちがあると思うのですね。

想像できないだけに、「痛みに耐えられるのか?」「出産が長引かないか?」「体力は持つのか?」色々な不安が出てくると思います。

 

私は2016年にヒプノバーシング(自己催眠出産)という方法でフランスで出産し、16時間、陣痛の痛みを消す体験をして、その後「陣痛の痛みを和らげる出産方法」であるソフロロジーのプロとなりました。

何故「体験したヒプノバーシングではなく、ソフロロジーなのか?」

それは、自分が体験した「ヒプノバーシング」よりも、「ソフロロジー出産」の方が「妊娠中」や「産後」に受ける恩恵が大きいと感じたためです。今は、2022年の時点で、日本で唯一のフランス労働省管轄RNCPレベル認定ソフロロジストになっています。

そんな筆者が、出産準備ナシの「陣痛の痛みの感じ方」と、ソフロロジー出産テクニックを使った場合の「陣痛の痛みの和らぎ方」について、お話します。







陣痛の痛みって、どんな痛み?

出産の痛みとして有名なのが「陣痛」

「陣痛」とは、「赤ちゃんがいるお部屋=子宮」の出口である「子宮口」を開かせて、赤ちゃんを下の方へ押し出していくのに必要な「子宮収縮」のことです。

お腹の中の赤ちゃん
子宮収縮

 

「子宮収縮」が始まってから「子宮口」が10センチに開き、お産が開始されるまでには、5つの段階があり、それぞれの段階にかかる時間は、妊婦さんによって様々だといわれています。

では、それぞれの段階にかかる時間や痛みについて、詳しく見ていきましょう。

ステージ1. 潜伏期

1.潜伏期(家で待機中)
子宮口の開き
0~2.5cm
「子宮収縮」の間隔
臨月になると時折やってくる前駆陣痛のこともあれば、10分くらいの間隔で来る陣痛の妊婦さんもいます。
痛みの強さ
耐えられる程度の痛み
(8~10時間、または数日に渡って、ときどき前駆陣痛がくる。)

この時期の陣痛の痛みは、臨月になると、時折やってくる前駆陣痛だとか、本陣痛の初期の話になります。

この時期の「子宮の収縮」は、子宮の羊膜から「プロスタグランジンE2」というホルモンが分泌されることによって引き起こされます。

「プロスタグランジンE2」による「子宮収縮」は、それ程強いものではなく、自然派・和痛分娩(ソフロロジーやヒプノバーシングのこと)を練習していなくても、耐えられる程度の痛みです。

ですから、この時期は妊婦さんも、痛みを我慢しながら、歩いたり食べたりすることもできます。

一般的な痛みの種類を例えていうと、「生理痛が強くなったような痛み」「下痢のひどいバージョン」のような痛みになります。

 

実は、こうした痛みの表現になるのには理由があるんです。

陣痛の痛みとは、「子宮が収縮することによって起こる痛み」のこと。そして、実は、妊娠中以外でも、「子宮が収縮」する痛みを感じることがあるんです。

それが「生理」。

生理は、子宮内膜が剥がれ落ちたものを外に出すために起こる軽い子宮収縮によって起こる痛みなんですね。さらに、下痢は、お腹が便を出そうとして収縮しているときに感じる痛みなんです。

つまり、「陣痛」というのは、「筋肉が収縮する痛み」全般を、もっと誇張した痛みをイメージすれば大丈夫なのです。

ソフロロジーのテクニックを使った痛みの逃がし方

「ソフロロジーCD」で自己流の実践をされている妊婦さんは、「ろうそくの呼吸」と呼ばれる、細く長く息を口から吐く呼吸で痛みを逃します。

筆者が開催している「ソフロロジー出産・オンライン講座」でソフロロジー出産の練習を行っている妊婦さんは、陣痛がきたときだけ「瞑想状態」へ移行します。誰でも、この時期の痛みは感じなくなります。眠気を感じるような感覚で、痛みがスーッと引いていきます。

前駆陣痛、「瞑想」と「呼吸法」で、「いつも眠くなって、すーっと消えていく感じ」で、いい感じです。

(「ソフロロジー出産・オンライン講座」を実践いただいた妊婦さんの感想。)

妊婦さんベッド越し

ステージ2. 加速期

2. 加速期(産院に行く)
子宮口の開き
2.5~4cm
「子宮収縮」の間隔
5~6分間隔
痛みの強さ
本陣痛がくる。耐えられる程度の痛み。
(数時間?)

この時期の陣痛の痛みは、前駆陣痛だとか、ステージ1のときの陣痛に比べると、真剣に痛くなってきます。

感覚も定期的になったことがハッキリと分かり、「いよいよ、出産に繋がる陣痛が来た」という緊張感のある気持ちになります。

 

自然派・和痛分娩法(ソフロロジーやヒプノバーシングのこと)を練習していない場合は、「痛みが怖い」と感じるかもしれません。「本格的に痛みに耐える」という時間になります。

ソフロロジーのテクニックを使った痛みの逃がし方

ステージ1と同じく、「ろうそくの呼吸」や「瞑想状態への移行」などで、痛みを逃がします。

「瞑想状態」への移行がうまくできていれば、この時期の痛みも、全く感じなくなります。ただ、陣痛がくる間隔が狭まりますので、ソフロロジーの「瞑想状態」は「精神統一した状態」になるため、集中力を使う感じになります。

「ソフロロジー出産」で準備をしていなかったら、出産に臨む時、不安や恐怖感で全身に力が入ってしまい、ひたすら痛みに耐えるだけの出産になっていたと思います。けれど、「ソフロロジー出産・オンライン講座」に取り組んだことによって、呼吸を使って、痛みの緩和を自ら実践することができた。

ステージ3. 極期

3. 極期(いきみ逃し中)
子宮口の開き
4~9㎝
「子宮収縮」の間隔
3分おき
痛みの強さ
赤ちゃんの頭が骨盤の中に入ってきて強い痛み。
(1時間?)

この頃には、分泌されるホルモンが「プロスタグランジンE2」から「プロスタグランジンE2α」へと切り替わります。

赤ちゃんの頭が回旋しながら、骨盤の下の方へ入り込んでくる段階なので、内側からボーリングの球のようなもので腰が推し拡げられるような圧迫感を感じます。

腰が割れそうな痛みとか、焼けつくような痛みなどと表現されることがあります。また、それだけでなく、大腸などが圧迫されるため、便意をもよおしたり、いきみたくなったりもします。

この頃の痛みが最も苦しいと思う妊婦さんも多いです。

それは、まだ子宮口が全開ではないので「お産」にはならず、いつまで、この痛みに耐えればいいのか分からないため「先が見えない不安」があるからです。

ソフロロジーのテクニックを使った痛みの逃がし方

この時期の痛みは、ソフロロジーの習得具合に変わってきます。

「ソフロロジーCD」を自己流で実践している場合には、できるだけ長く吐く息に集中しながら、「赤ちゃんも痛い中、自分も頑張ろう」という気持ちで痛みに向き合う感じになります。ただ、痛みで呼吸へ意識がいかなることが多いようです。

筆者が開催している「ソフロロジー出産・オンライン講座」でソフロロジー出産の練習を行っている妊婦さんは、「瞑想状態への移行」によって痛みを逃します。この段階からは、陣痛が去っても「瞑想状態」から出ないようにします。「瞑想状態」の中で、体をゆるめるイメージをしたり、自分がリラックスできる場所のイメージをしたりして、できるだけ出産のステップが進んでいくようにします。

 

ステージ4. 減速期

4. 減速期(分娩室へ移動)
子宮口の開き
9㎝~全開
「子宮収縮」の間隔
1~2分おき
痛みの強さ
赤ちゃんの頭が骨盤を通り抜けようとする強烈な痛み。
(1時間?)

この頃になると、ちょっと休んだら、すぐに次の陣痛がやってくる感じになります。

分泌されるホルモンは、今度は「オキシトシン」というものに切り替わり、強い「子宮収縮」になります。

自然派・和痛分娩(ソフロロジーやヒプノバーシングのこと)を練習していない場合は、「痛みに飲み込まれる」感じになることが多いと思います。呼吸をコントロールしようと思っても難しくなります。

ソフロロジーのテクニックを使った痛みの逃がし方

「ソフロロジー式分娩法」の研修を受けている出産施設では、穏やかな出産になることもありますが、自己流で「ソフロロジーCD」の実践をしている妊婦さんは、お産の段階では、ソフロロジーが使えなくなることが多いと聞きます。痛みが想像以上になり、呼吸に意識を集中することができなくなるようです。(「この痛みの中で、どうやったら、そんな呼吸ができるの?信じられない」みたいな感じになることもあるようです(ある体験者のお話))。そのため、普通の分娩と同じようにいきんで出産される方も多いようです。

「瞑想状態への移行」によって、「痛み逃がし」をしている場合は、「痛み」ではなく、「体をゆるませること」や「体の深い呼吸のリズムに意識を集中」することになります。「瞑想状態へ移行」している場合は、顕在意識による呼吸コントロールは行いません。勝手に体が深い呼吸をしているので、それに任せるだけになります。意識が覚醒すると、途端に呼吸が乱れるので、意識を覚醒させないように集中します。

 

ステージ5. 分娩(お産)

5. 分娩(産んでる最中)
子宮口の開き
全開
「子宮収縮」の間隔
1~2分おき
痛みの強さ
陣痛の痛みが激しくなる。
赤ちゃんが産道を通って会陰から出てくる最大級の痛み。
(1時間?)

子宮口が全開かどうかは、助産師さんが膣から指を入れて触診して教えてくれます。指の長さで何センチかを測るので、きっちり「10.00センチメートル」から出産が始まるわけではありません。

「だいたい10センチくらいよ~、どうする? もう産みたい? じゃあ、産みましょうか。お産の準備をしますね~」みたいな流れです。(出産施設や助産師さんによって違うとは思いますが。)

 

一般的には、最大限に痛みが強いのが出産です。出産準備をしていない方は、叫びながら産むことが多いと思います。

けれども、へとへとになっていた妊婦さんが、「分娩ですよ~」となった途端にパワーがみなぎって、出産が一気に終わることもあります。

人間は、より強い痛みを感じた後に感じる「痛み」に対して「痛みの感度が下がる性質」があり、長い間、激痛に耐えてきた妊婦さんにとって「痛みの感覚」が麻痺し、「もうすぐ終わる」という気持ちが力に変わることがあるんです。

また、お産は、じっとして痛みに耐えるのではなく、「赤ちゃんがどれくらい出てきたから、後もう少しだ」など、助産師さんに色々話しかけられて忙しいので、痛みを感じている暇がない、という部分もあります。

いずれにしても「ここで頑張れば、もうすぐ終わる」「もうすぐ赤ちゃんに会える」というのは、ママにとって大きな活力になります。

ソフロロジーのテクニックを使った痛みの逃がし方

日本の「ソフロロジー式分娩法」は、いきまずに産むことを勧めていますが、「ソフロロジー出産」を推奨している出産施設でも、いきむように指示される施設もあるようです。

いきまずにお産をする場合は、「陣痛に合わせて息を吐き、下半身を極限までゆるめて、赤ちゃんが自然に出てくる」のに任せます。

いきむと赤ちゃんが力で押され、会陰も圧迫されて切れやすくなります。「子宮収縮」の力だけで赤ちゃんが出てくるのを待つと、会陰がゆっくり伸びながら、時間をかけて赤ちゃんが誕生するので、産道や会陰の損傷を予防することができます、そうすると産後の回復がとても早くなります。

ただ、いきんで産むよりも時間がかかります。ソフロロジーがうまく実践できずに、痛みを感じていたり、疲れがひどい場合は、いきんで早く産みたい気持ちになることもあるようです。

まとめ

というわけで、出産のクライマックスに向けて「緊迫した感じ」になっていきますが、ソフロロジー出産を練習した場合、少なくとも「ステージ1」「ステージ2」という最も時間がかかる段階の痛みを完全に消すことができます。

特に、「前駆陣痛」は、臨月に毎晩やってくる妊婦さんもいらっしゃいます。

初産では「前駆陣痛」によって、出産への恐怖が膨らんだり、出産への気持ちが萎えることがあります。なので、「前駆陣痛」の痛みを完全に逃せるテクニックを身に着けている妊婦さんは、出産へも前向きに臨める傾向が強いのです。

そして、前半の痛みを抑えることが、出産後半の体力を温存し、お産のスピードを落とさずに進める大きな効果を発揮します。

何より、痛みに巻き込まれずに、自分を保って出産を乗り越えるテクニックを持っていることで、「出産準備ナシの出産体験」に比べると、格段に充実した満足感を感じていらっしゃるように感じます。

痛みを逃すには体力や筋力も大切

出産全体をスムーズに運び、痛みを上手に逃がせるようにするには、「呼吸法」や「リラクゼーション法」だけではなく、「体力づくり」や「筋力」も必要です。

「体力づくり」や「筋力」は、「ソフロロジ―出産」では十分に鍛えられませんので、「雑巾がけ」や「歩行」「階段の上り下り」「マタニティー・ヨガ」など、ご自身に合った運動をして、体を鍛えていってくださいね!

最後に・・・。

痛みは嫌悪したり怖れたりすると強くなる性質があります。怖れずに受け入れ、「痛みの感覚」にフォーカスするのではなく、「緩んでいる体の感覚」や別のことへ意識をフォーカスするようにしましょう。