こんにちは。
「ソフロロジー出産・オンライン講座」を開講している、日本人初「フランス労働省管轄RNCP レベル認定ソフロロジスト」まなみーです。
『ソフロロジー出産をきっかけに「ソフロロジー」を知ったけど、
ソフロロジーって、そもそも何なんだろう?』

そんな疑問をお持ちではありませんか?
日本にソフロロジーが持ち込まれたのは、今から30年ほど前の1987年のことです。(※日本ソフロロジー協会のサイト参照)
松永昭(まつなが あきら)先生が、「ソフロロジー式分娩法」という形で日本の産婦人科界に広めていかれました。
ソフロロジーは、元々、「代替医療」としてヨーロッパで発展した「心と体のケアを行うセラピー」です。
「出産準備としてのソフロロジー」については、松永先生によるご尽力で、日本人にも知られるようになったのですが、セラピーとしてのソフロロジー・メソッドについては、日本で学べる機関がまだないため、情報源が乏しいのが現状なんですね。
そんな「セラピー・メソッド」のソフロロジーが、何故、出産に活かされるようになっていったのでしょうか?
この記事では、日本では、あまりよく知られていない「そもそもソフロロジーって何?」、そして、「何故、セラピーが出産に活かされているの?」ということについて、フランス労働省管轄機関『RNCP』のレベル認定を受けたソフロロジストの筆者が、詳しくご紹介していきます。
認定証♪ ⇓⇓⇓⇓⇓

このページの内容
ソフロロジーの誕生
ソフロロジーは元々「心と体をほぐしバランスのとれた状態」へと導いていくための呼吸メソッド。
もう少し簡単な名前でもいいものですが、何故「ソフロロジー」という変わった名前になったのでしょうか?
ソフロロジーという名前は、このメソッドの創始者であるスペインのカイセド医師が「統合失調症」を意味するschizophrénie (スキゾフレニー)の語源に着想を得て、つくったものです。
カイセド先生は、精神科医でしたので、ソフロロジーを創始した頃、統合失調症などの患者さんの治療方法についてを研究していました。
「統合失調症」を意味するschizophrénie (スキゾフレニー)が、「分裂する」「割れる」「壊れる」などの意味を持つschizein というギリシア語と、「理解」「判断力」「精神」などの意味を持つPhren という2つのギリシア語を組み合わせて作られていることを知り、「精神の分裂や不調和」という意味合いを持つ統合失調と反対の「統合した精神、調和した精神」を得るための学問分野が必要だと考え、その新しい分野の名前を『ソフロロジー』と名づけたのです。
分裂を意味する「schizein」の部分を、調和を意味する「sôs(ソ)」という音に置き換え、判断をする能力=意識という意味合いを含む「phren」に、言葉「logos」という意味を加えて「Sophrologie(ソフロロジー)」となりました。
【ソフロロジーの名前に含まれる3つのギリシア語】
sôs
ソ
調和・均衡
phren
フレン
意識・精神
logos
ロゴス
思考・言葉
実際、ソフロロジーについて、創始者であるカイセド先生は次のように言っています。
« La sophrologie est une science qui étudie la conscience en équilibre.
C’est une discipline pour le développement des valeurs de l’être, inspirée par la phénoménologie existentielle »
ソフロロジーは、バランスのとれた意識とは何か?を研究する学問である。
また、人間の「存在」と「意識」との関係をどう捉えるか?という「現象学」に影響を受けた
「人間の、存在としての価値を啓発していくための学問」である。
少し、難しいですよね?
これを、だいぶ分かりやすく説明すると、次のようなことになります。
言葉によってイメージを呼び起こし、呼吸をコントロールしながら、意識や精神のバランスを整えていくことで、自分の大切さに気付いていくメソッド。
そうすることによって、結果として、様々な原因で損なわれた「自然治癒力」や「潜在的な能力」が活発化し、より良い状態へと進歩していくのです。
カイセド先生がソフロロジーを考案した初期の頃は、精神症を患う患者さんに実践されていたメソッドでしたが、1970年にバルセロナの学会でソフロロジー・メソッドが公開されて以来、医師の間で高いと評判となり、様々な分野に取り入れられるようになっていきました。
こうして、現代のヨーロッパでは、「ストレス・ケア」や「病痛のコントロール」、「自己啓発」や「スポーツのメンタルトレーニング」、そして「出産準備」のために、効果の高い手法として活用されています。
ソフロロジーが取り入れられている分野としては、例えば、次のような分野が挙げられます。
- 仕事や日常のストレス、苦手の克服。
- 子どものメンタル・ケアや、あり余るエネルギーの発散。
- 思春期・老年期における心身の変化からくる不安症状の鎮静。
- 闘病中の痛みの緩和や生活の質の向上と、前向きな闘病生活の実現。
- 試験やコンクール、オーディション、出産などの特別なイベントをスムーズに迎えるためのメンタル・トレーニング。
- アルコールやタバコ依存症などの克服。
- 飛行機や乗り物、蜘蛛への過度な恐怖など、生活に支障をきたす恐怖症の克服。
- 集中力UP。
- 不眠の解消と睡眠の質の向上。
- スポーツ選手のメンタル・トレーニング(オリンピック選手なども使われています)。
- 精神的な自己啓発。
- 耳鳴りの治療。
ざっと挙げただけでも12分野、多いですね。
こんなに、人生の様々な場面で大活躍するソフロロジーですが、このメソッドを実践するときのポイントを簡単にまとめると、次の3つとなります。
ソフロロジー 実践の3つのポイント
- 穏やかな呼吸を感じる
- ゆるんだ体の感覚を感じる
- 気持ちのいいイメージから受け取る安らぎの感覚を感じる
定義はややこしくても、実際にやることは意外とシンプルなんです♪
ソフロロジーが出産にいい理由
それでは、ここからは、この「ソフロロジー・メソッド」と「穏やか出産」が、どう繋がっていくのか?についてお話していきますね☆
「出産不安や出産ストレス」と「リラックス」の仕組み、一体、呼吸とどう関係しているのでしょうか?

現代では、様々な産院が独自のHPを作成しておられ、その中で「出産はリラックスが大事」ということが書かれていると思います。
何故なら、心や体がリラックスすることで、産道がゆるみ、赤ちゃんがスムーズに出てこられるようになるからです。
妊婦さんが「出産に対して恐怖や不安」を抱えていれば、自然と体が緊張し、リラックスできなくなってしまいます。
ですから、「出産に対する恐怖や不安」は、できるだけ克服しておいた方が良いし、「体をリラックスさせて産道をゆるめるためのテクニック」も持っておいた方が良い、ということになんですね。
とはいえ、頭で分かっても、実際、どうすればいいの?
ということになりますよね。
そこに効果的にアプローチできるのが「ソフロロジー」だった、ということなんです♪
では、どのようなメカニズムになっているのでしょうか?
呼吸とリラックスの関係
とっても簡単に説明すると「ストレス反応」と「リラックス反応」は次のような神経反応になっています。
- 体に「ストレス反応」を起こすための指令を送る「交感神経系」。
- 体に「リラックス反応」を起こすための指令を送る「副交感神経系」。
「交感神経系」と「副交感神経系」を合わせて『自律神経系』と呼びます。
ですから、この「自律神経系」のバランスを整えることで、体をリラックスの状態へと誘導してあげることができます。
そして、この「自律神経系」に働きかけるための最も効果的なツールというのが『呼吸』なんです。
大まかにいうと、次のようになります。
- 息を吸う=「交換神経系」が活性化。
- 息を吐く=「副交感神経系」が活性化。
「息を吐くことで、恐怖や不安も、体の筋肉もゆるませることができる」ということです。
そのため、ソフロロジー・メソッドの基本的な呼吸は次のような呼吸となります。
「鼻から息を吸って、すぼめた口から、細く、ゆっくりと息を吐く」
この写真のように、口をすぼめてストローから息を吐くように、息を吐いていきます。

息を吐くだけで、心や体はゆるむのですが、さらに、その効果を高めるために、体の弛緩も同時に行います。体をゆるめながら息を吐いていくんですね。
そして、同時にイメージワークも行います。
では、何故、イメージが「心と体のリラックス」を助けてくれるのでしょうか?
ソフロロジー出産と「イメージ・ワーク」
あなたは、映画やアニメなどの架空の画像を見て「怖い」と思ったり「嬉しい」と思ったり、感情が動いたりしたことがありませんか?
私たちって、実は「画像を見る」だけで、本当にそれが起こったかのような感情を感じることができる仕組みを持っているんです。
何故かというと、脳は「現実の映像」と、「想像した架空の映像」の区別をつけないからです。
想像の世界が脳で処理される仕組み
脳の情報処理は、映像(イメージ)については「視覚野」で、音については「聴覚野」で、匂いについては「嗅覚野」で行われています。
そして、それらは、映像や音や匂いが架空のものであっても、現実のものであっても、関係ないんです!
つまり、嘘でも本当でも、脳が映像を見ると「視覚野」が、音を聴いた気がすれば「聴覚野」が、匂いを嗅いだ気がすれば「嗅覚野」が刺激されることになるんですね。

さて、ここで、もう一度「ソフロロジー・メソッドの3つのポイント」を思い出してみましょう。
ソフロロジー・メソッドの3つのポイント
- 穏やかな呼吸を感じる
- ゆるんだ体の感覚を感じる
- 気持ちのいいイメージから受け取る安らぎの感覚を感じる
体をゆるめながら息を吐き、リラックスできるイメージを思い浮かべれば、それだけでかなりリラックスできます。
が、同時に、そのゆるんだ呼吸や体感を意識して感じるのがソフロロジー・メソッドの特長的な部分になります。
何故、ゆるめただけなく、ゆるんだ感覚を意識して感じるのか?
それは、普段、無意識でいる「体の感覚」を意識的に感じ取ることによって、「リラックスしている感覚」が確実に脳へフィードバックされ、そうすると、さらに、脳が「リラックス反応」を産み出す指令を出すようになるからです。

このように「リラックス反応を起こす刺激」をエンドレスに自力で創り出すことができるのが「ソフロロジー・メソッド」なんですね。
もちろん、イメージトレーニングは、「出産の流れ」などを疑似体験するのにも役立ちます。
ところで、リラックスといえば、「ヨガ」も有名ですよね?

多くの産院さんが、母親学級で「マタニティー・ヨガ」を取り入れていらっしゃいます。
実は、ソフロロジーには、ヨガも取り入れられているんです。
ソフロロジーとヨガ
マタニティー・ヨガとの違いは?
カイセド先生は、ソフロロジーを開発するにあたって、インドにヨガを学びに行かれています。
ソフロロジーが「ボディワーク」と「瞑想ワーク」から成り立っているのは、ヨガの影響を受けてのことです。
ヨガは、精神の内側に深く入り込む瞑想に入る前に、瞑想に入るための準備として「体を動かすエクササイズ」を行います。精神や意識のバランスを整えていくソフロロジーも、「瞑想ワーク」に入る前に「体をゆるめる」ことから始めるんです。
ソフロロジーに取り入れられているのは、「ラージャ・ヨガ」というヨガの流派です。
ソフロロジーとラージャ・ヨガの違い
「ラージャ・ヨガ」は、呼吸法を用いたボディワークをしながら「体の感覚」に気づいていく流派なのですが、ヨガとソフロロジーには、一つだけ大きな違いがあります。
それは、ヨガが「ボディワークをしながら、体をほぐしていくことを目的」としているのに対して、ソフロロジーは、「ボディワークをしながら体をほぐし、体がゆるむ感覚を感じることによって、自分の「体の存在」に意識的に気づく目的」がある、という点です。
この視点は、筆者の「オンライン・ソフロロジー出産」の『セッション4・体への信頼を高める』というステップに取り入れられています。
日本やヨーロッパで実践されているヨガ教室の多くは、エクササイズに重点が置かれ、体をストレッチしたり、訓練しないとできないような体勢でバランスを取ったり、続けることで「身体能力」も上がっていくイメージがあると思います。
もちろん、マタニティー・ヨガでは、妊婦さんが行っても大丈夫な運動なので、過激な体勢にはならないと思いますが、それでも、体力・筋力がついたり、体を鍛えたりできるようになっているようです。
ソフロロジー・メソッドでは、「意識の状態を整えていく」のが主たる目的のため、「体力づくり」という観点では不十分です。
一方、「マタニティー・ヨガ」では、体は鍛えられるかもしれませんが、「出産の痛みなどへのダイレクト・アプローチ」はできません。
そう考えると、「マタニティー・ヨガ」で体力をつけながら、「ソフロロジー出産」を実践されると、相性がいいように思います。
ソフロロジーに取り入れられている仏教と禅
カイセド先生は、インドだけでなく、チベットや日本へも旅行し、「チベット仏教」や「日本の禅」も、ソフロロジーに取り入れられました。
チベット仏教
ヨガでは、自分という存在の中に「体がある」という意識へ目覚めることを取り入れました。
この「自分の体」への気づきは、「今、ここに居る自分」への気づきになります。
そこで、チベット仏教から取り入れたのは、自分という存在を「今、ここに居る自分」だけでなく、「自分を取り巻く環境の一部として、存在している自分」への気づき、また、「過去から未来へと流れる時間の中で、存在する『今』」への気づき、という視点です。
ソフロロジー出産では、「妊娠中の自分の視点だけに視野が狭まり、今の不安で一杯いっぱい」な意識の状態から、「赤ちゃんと繋がりを持っている母親としての意識」への目覚め、「妊娠している今の自分に起こっている全て」が、「未来の出産・子育て」へと途切れずに繋がっていく、ということへの気づき、へと促されていきます。
こうすることで、「今ある恐怖や不安」に飲み込まれるのではなく、「今の状況や、自分の存在意義」を、より広い視野で捉え、そのことが出産に向き合う「勇気」や「自信」など、「妊婦さんが潜在的に秘めている力への気づき」へと繋がっていくのです。
日本の禅
日本で有名な「座禅」。
「座禅」とは、何か気になることがあったときに、リアクションとして、立ち上がって行動するのではなく、「座する=動かない=リアクションしない」という行動を通して、内観することです。
「恐怖や不安」「体の不快感」「周囲の人からの言葉かけ」など、妊娠すると、出産・育児に関係して、気持ちが動揺する原因となることが様々起こると思うんです。
そういった「外側からの刺激」に気持ちが左右されている状態から、「自分の内側へ意識を集める集中力と不動心」を育む、という点がソフロロジーに取り入れられています。
実は、この訓練が、出産時の「痛みのケア」に欠かせない「集中力」と「リラックス状態への移行」を助けてくれます。
ソフロロジー 痛みへのアプローチ
ソフロロジー・メソッドは、出産以外でも、「痛みの緩和ケア」に大いに役立てられています。特にフランスでは、癌患者さんの痛みケアに積極的に活用されています。
ソフロロジーをしっかりと身に着けた場合は、痛みを感じにくい「脳波の状態」へ移行することができます。その状態では、「脳内モルヒネ」と呼ばれる、痛みを麻痺させる物質が分泌されるんですね。
この痛みケアに使われる方法が、ソフロロジー出産にも役立てられているんですよ♪
痛みを感じないメカニズムについては、コチラの記事もお読みくださいね。
ソフロロジー出産百科 Vol. 2 ホントに痛みは消えるのか?【「無痛分娩」との比較】
まとめ
まとめると、ソフロロジー・メソッドの次のような性質が「ソフロロジー出産」に取り入れられているんですね。
ソフロロジーが出産に取り入れられた理由
- 出産時の呼吸法
- 出産不安の緩和(ストレス・マネジメント)
- 痛みの緩和ケア(意識の移行)
- 自信を育むメンタル・トレーニング
- 出産イメージ・トレーニング
いかがでしたか?
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